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長い旅路の果て(サポーター編)

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ドイツでの日本代表の闘いが終わった。この4年間、オイラはどんな気持ちで日本代表と向き合ってきたのか。そして、この結末に何を得たのだろう。

深い愛情があったとはいえない。
蒼いユニフォームに対して強い思い入れを持つことがなかったように思える。いつも何かに満足できず、常にエクスキューズを求めていたように思う。
この4年間で一番素直にジーコが率いる日本代表に魅せられたのは2004年の欧州遠征とアジアカップの時期だったように思える。前者は久保のゴールに魅せられ、後者はチームのミラクルに魅せられた。

2004年、本格的にF.マリノスを愛するようになって以降、「ジーコ」「鹿島」といったアイコンによって代表を真っ直ぐに見れなくなっていたような気がする。久保の理不尽な召集や松田の生殺し、よくわからない鹿島の選手の登用(本山のFWとかどこまで効果的かわからない中田浩二の召集)、そしてフレッシュな顔が現れない日々。
ドイツの現地に行くまで、蒼いユニフォームが特別になることがなかった。そんな4年間だった。

蒼いユニフォーム。日本サッカーの夢。
ドーハの悲劇を見てから、オイラの中でサッカーは特別な存在になった。今から思えばつたないサッカーとしか云えないあのサッカーに夢を託し、アメリカ行きが消え去ったあと、胸の中に消えない何かが残った。
Jリーグが開幕時の勢いを失い、魅力あるチームを見失った時期でも日本代表は特別だった。
加茂さんが散り、岡田軍神が何の準備もなく引き継いでやっとの思いで辿り着いたフランス。あの時も複雑な思いで日本代表を見ていた。カズの落選で素直に見れなかったことを思い出す。
ただ、FIFAアンセムが流れ、あのユニフォームが入場してくると心が昂ぶったことには変わりはない。

トルシエに率いられた蒼いユニフォーム。
何が面白かったのだろう?思い出すことはJリーグをあまり見なかった自分にとってあのチームは日替わりでヒーローが生まれていたように思える。鈴木隆行の登場がとてつもなく衝撃的だったことを覚えている。

でも、俺は熱かったか?即座に全くもって熱くなかったと言い切れる。

今と決定的に違うことは試合を見るスタンスだ。あの当時、明確にその理由が語れないほど愛したチームはなかった。勝利を願い、歌い、跳ねることはアリエナイことだった。F.マリノスに出逢い、すべては変わった。熱く応援することに喜びを覚えた。そんな中で日本代表をどんな位置に置くべきか、悩んだことは事実だ。ましてや愛する選手の不遇を見て、どうやって愛すべきか悩んだ。
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久保の落選以降、本大会が始まるまで日本代表は自分の中に存在しなかった。ユージがいたけれども、ジーコへの不信がすべてを覆っていた。落選してしまった久保とその久保を気遣う、同じくジーコに冷遇された松田にシンパシーを覚えつつナビスコカップを闘った。
そんな中で久保のゴールに救われた。2試合連続で決めた久保ゴールにすべてのわだかまりを流すよう促されたような気がする。

やっとサムライブルーを普通に眺めることができるようになった。テンションはあがった。しかし最初に目にした試合はオーストラリア戦の負け。脱力感。しかしマリノスの負けのような重さがない。重さを感じないことに違和感を覚えた。やはり日本代表を愛していないのか・・・?

長い旅路の果て(サポーター編)_b0038792_0362491.jpg苛立ちだけは募った。mixiの日記を読み返してみてもいろんな感情が入り乱れているのがわかる。
ジーコが諦めたようにやつれていることに怒っていた。「落武者」と嘲笑しつつも怒っていた。そして何度も負け試合を悔やみ続けるマスコミに怒った。終わった試合は何を言っても帰ってこない。駒野が受けたファールについて騒いだって何も変わりはしない。それがフットボール。それすらわからずコメントする文化人に嫌気がさした。

すべてをリセットするつもりで横浜の町へ出かけた。敢えてサッカーと関係ない友人と出歩いたものの、アディダスショップも、街中もサムライブルー一色。
ささやかながら誰もが皆、日本代表に期待しているのだ。普段スタジアムに来ない人も。だとしたら・・・スタジアムに通うものはどうすればいいのか?知らん顔なんかできない。
そんな横顔を悟ったのか、友人はサムライブルーパークに行くことに水を向けてくれた。余程、日本代表のユニフォームに反応してたんだろう。

クロアチア戦前のサムライブルーパークは雨の中。人も少なく、やたら陽気なミュージシャンが歌を歌っていた。まったく日本代表に関係ない歌。

その歌の後、スクリーンにドーハからの歴史がダイジェストで流れた。それもサポーターの歴史だ。ジョホールバルの歓喜。ワールドカップ初の勝ち点。その後ろで青い旗をスタンバイし戦うサポーター。心が動いた。
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日本代表の青いユニフォームは「ジーコ」だの「鹿島枠」だの「わけわからん用兵」といったアイコンで遠くに置いてはいけない。そんなこともすべて含み、怒りつつも心の深いところで感じる愛に素直でなければいけない。FIFAアンセムとともに現れるあのユニフォームに高鳴る鼓動はなんだ?どんな試合でも負けると心のど真ん中に残るわだかまりはなんだ?
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みんな、日本代表を愛している。だからこそ不甲斐なさに怒る。
ただ戦犯探しのような論評や諦めの論評に同意することはない。長い日本代表の歴史の中できっと何か意味をもつドイツの日々。
この大会であのブラジルから先制点を奪ったのは日本が最初だ。輝ける何かを持っている。

だからもう一度、前を見ようと思う。
by trico_dragon_no_9 | 2006-06-25 01:13 | 日本代表