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リアリストの城門をこじ開けた、ドリーマーの魔法

取って置きの「マジック」 ロナウジーニョが決勝点

バルサvsミラン第2戦。
これに勝てばミランは勝ち抜け、バルサは危機に陥る一戦。

いつもならCLのテーマが流れて、試合開始なんだけどカンプ・ノウは違う。そう、あの曲が先に流れるのだ。
曲の最後の「バルサ!バルサ!バールサ!!」の掛け声がカンプ・ノウ全体に凄い音圧で響き渡る。

バルサはいつものメンバー。ピポーテの駒不足はあるものの、そこにマルケスを持ってきた。
奴ならワンボランチ気味でも十分いける。

対するミラン。アンチェロッティはやはりリアリストだ。いつものダイアモンド型4-4-2ではなく、4-3-2-1という布陣。スピードのあるセルジーニョとカカを「2」の位置に並べ、この前線へのボールの供給役にピルロ。その両脇をガットゥーゾとアンブロジー二が固める。
敵の3トップのサイドを「攻める」ことで抑えることを考えてか左にカラーゼ、右にカフー。中央はマルディーニ・ネスタが固める。カウンター狙いの「アウェイ型」の布陣。

試合はやっぱり前節に続いてガチンコ。但しここはカンプ・ノウ。サンシーロではないのだ。守備のミランと攻撃のバルサの鍔迫り合いの様相になる。
前半、アンチェロッティの「リアリズム」はズバリ的中した。ゴールこそならなかったものの、カウンター気味に供給されたパスにセルジーニョが抜け出し、カカへ折り返しシュート。

恐らくアンチェロッティの頭には「引き分けでもいい」との考えがあったのではないだろうか?
あの形でのパス供給ならばピッポは十分抜け出せるだろうし、トマソンも精度の高いパスをシェフチェンコに供給してゴールできただろう。
やはり去年のデポル戦のイメージがアンチェロッティにのしかかっているのか・・・

しかし、「リアリズム」を結実させる男が前線にいた。
アンドリュー・シェフチェンコ。

ビエリのような重戦車ではなく、アドリアーノのような怪物でもない。必要な仕事を最も早く、正確に仕上げるウクライナの「アサシン」
矢のような突破は引っ張り気味に止めに入ったバルサDFも引きずり倒し、先制の一撃を加えた。

繰り返すようだがここはカンプ・ノウ。会場を埋め尽くしたバルササポーターはロナウジーニョを中心とした「騎兵隊」が歴戦の勇士マルディーニ指揮下の「重装歩兵」を粉砕することを願って止まない。闘将プジョルが吼え、シャビが絶妙なパスを繰り出し、エトーが突っ切る。
そのパスがネスタ・マルディーニという盾の隙間を突き、突っ切ったエトーが反撃の狼煙となる一撃を加える。

カンプ・ノウは闘牛場と変わっていく。マタドール・バルサの華麗なパスは猛牛ミランを翻弄する。ポゼッションは明らかにバルサの方が高い。「リアリスト」は「次のこと」を考え始め、シェフチェンコとカカを下げる。カカはこの試合で最後までミランに「魔法」をかけることはできなかった。
代わりに入ったのはトマソンとルイコスタ。セルジーニョもセードルフに交代した。
「攻撃的」でありながら献身的な守備もするこの三人。アンチェロッティは「勝ち」にいくというよりは「引き分け以上にいく」という選択をした。
リアリストの城門をこじ開けた、ドリーマーの魔法_b0038792_17242775.jpg

試合も終了間際「さあ、本当の魔法使いは僕なんだよ」と言わんばかりにトリックを使いまくったロナウジーニョがマルディーニを手玉に取るフェイントを決め、ゴール左上隅にボールを蹴りこんだ。

「リアリスト」と「ドリーマー」の闘いはカンプ・ノウの万来の拍手を受けながらドリーマーの勝利に終わった。

この勝利を永遠のカピタン、ルイス・エンリケに捧ぐ。
by trico_dragon_no_9 | 2004-11-03 15:51 | 世界のサッカー